百人一首の和歌に関し、Voicyの音声講座「毎朝古典サプリ」でも多く解説をしています。(無料、それぞれ10分程度)
361.春の百人一首特集①光孝天皇〈君がため春の野に出でて若菜つむ 我が衣手に雪はふりつつ〉
362.春の百人一首特集②紀貫之〈人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に匂ひける〉
363.春の百人一首特集③周防内侍〈春の夜の夢ばかりなる手枕にかひなく立たむ名こそ惜しけれ〉
364.春の百人一首特集④小野小町〈花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに〉
396.桜の百人一首①高砂の尾の上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ(権中納言匡房(大江匡房))
397.桜の百人一首②もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし(前大僧正行尊)
398.桜の百人一首③いにしへの奈良の都の八重桜けふここのへににほひぬるかな(伊勢大輔、詞花和歌集)
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あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を 一人かも寝む 柿本人麻呂
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき 猿丸大夫
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも 阿倍仲麻呂
わが庵は 都の辰巳 しかぞ住む 世をうぢ山と 人は言ふなり 喜撰法師
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関 蝉丸
わたの原 八十島かけて こぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣舟 参議篁(小野篁)
天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ 僧正遍昭
筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞ積もりて 淵となりぬる 陽成院
陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れ初めにし 我ならなくに 河原左大臣
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば いま帰り来む 中納言行平
ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは 在原業平朝臣
住の江の 岸による波 夜さへや 夢の通ひ路 人目よくらむ 藤原敏行朝臣
難波潟 短き芦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや 伊勢
わびぬれば いまはた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ 元良親王
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ 文屋康秀
月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど 大江千里
このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢの錦 神のまにまに 菅家(菅原道真)
名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな 三条右大臣
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ 貞信公
ありあけの つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし 壬生忠岑
山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ もみぢなりけり 春道列樹
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに 藤原興風
白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける 文屋朝康
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな 右近
浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 人の恋しき 参議等
契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは 清原元輔
逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし 中納言朝忠
あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな 謙徳公
由良のとを 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな 曾禰好忠
八重むぐら 茂れる宿の 寂しきに 人こそ見えね 秋は来にけり 恵慶法師
風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな 源重之
みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思へ 大中臣能宣朝臣
君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな 藤原義孝
かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを 藤原実方朝臣
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな 藤原道信朝臣
忘れじの 行く末までは 難ければ 今日を限りの 命ともがな 儀同三司母
滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ 大納言公任
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな 和泉式部
めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな 紫式部
有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする 大弐三位
夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ 清少納言
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 権中納言定頼
恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ 相模
心にも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな 三条院
嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり 能因法師
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ 良暹法師
夕されば 門田の稲葉 おとづれて 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く 大納言経信
音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ 祐子内親王家紀伊
高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ 前権中納言匡房
憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを 源俊頼朝臣
契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり 藤原基俊
わたの原 こぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 法性寺入道前関白太政大臣
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ 崇徳院
秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ 左京大夫顕輔
長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ 待賢門院堀河
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる 後徳大寺左大臣
思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり 道因法師
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる 皇太后宮大夫俊成
ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ いまは恋しき 藤原清輔朝臣
夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり 俊恵法師
嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな 西行法師
村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ 寂蓮法師
難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき 皇嘉門院別当
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする 式子内親王
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず 殷富門院大輔
きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む 後京極摂政前太政大臣
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし 二条院讃岐
世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも 鎌倉右大臣(源実朝)
み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣打つなり 参議雅経
おほけなく うき世の民に おほふかな わが立つ杣に 墨染の袖 前大僧正慈円
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり 入道前太政大臣
来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ 権中納言定家
人もをし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は 後鳥羽院
ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり 順徳院
監修書『イラストでわかる 超訳 百人一首』
(中経の文庫、イラスト:カワグチニラコさん)
出版社解説文より